エネルギー不足にならないために

 『女性アスリートの三主徴(概要)』で、利用可能エネルギー不足について簡単に説明しました。今回は「エネルギー不足」そのものについて考えてみます。体育科の学生であれば「相対的なエネルギー不足(RED-S)」という言葉で学ぶ内容です。このRED-Sは、女性アスリートだけではなく、男性も対象にした概念です。

 女性アスリートの三主徴は、食事によるエネルギー不足が続くと、月経や骨の状態に悪影響を及ぼすというものです。RED-Sはさらに範囲が広まって、代謝や成長、血液や心血管、免疫機能、メンタルなど広範囲を対象にしています。RED-Sは、大きな事故といった明確な原因がないほとんどすべての怪我や不調の要因に成り得るといえるでしょう。

 ではエネルギー不足にならないためにはどうしたら良いのか…ということですが、答えは「食べる」ことしかありません。しかしこの食べるということが困難であるケースが多々あります。特に走高跳や長距離選手においてです。中には脂肪による重さは邪魔でしかないと考えてしまい自ら食事を減らす人もいます。実は高校時代の私もそのような時期がありました。珍しいことに、私の通っていた高校は給食が出ていました。ご飯が入った箱とおかずの入った箱の2箱が出てくるのですが、一時期、太ってはだめだと思いこむようになってしまい、ご飯を半分以上残していたのです。今にして思えば大した減量でもないのですが、成長期ですし、放課後の部活ではトータルで20㎞くらい走る日もあります。調子が上がらない日が多くなると「減量が原因か?」と考えるようになってきて、再び食べるように変えていったのでした。

 言うのは簡単ですが難しいこと、それは体重(脂肪)を気にするな、ということです。特に10代の選手や女子選手であれば「やっぱり気になる」でしょうが、駅伝強豪校やニューイヤー駅伝やクイーンズ駅伝常連、或いは本気で目指すくらいの実業団であれば、日々の練習をこなしているだけで減量など全く気にしなくていいほど動いています。「何をどう食べるか」は非常に重要なことですが、運動量から考えると食事量を減らすことや、私のように「太ってはだめだ」だとか「痩せている方が速い」と思いこむことは言語道断であると言えます。

 今回の記事はここまでにするとして、関連することについてはまた別の記事にしたいと思います。以下は余談です。

 私が「太ってはだめだ」と思うようになった理由は、当時の陸上競技雑誌にあります。高校駅伝のチーム紹介などに選手個々の身長と体重が記載されていたのです。すると「え?この人これしか体重ないの?」と驚かされるのです。そして「自分は重たい、軽くならねば」と考えるようになってしまったのです。
 実際に軽い体重の人も勿論いたでしょうが、見栄を張って軽い体重を取材に答える人もいたでしょう。男子でも「軽いほうが速い」という認識があった時代でした。